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お子さまの永久歯が生えてきたのに乳歯が抜けない…放置して大丈夫?保護者が知っておきたい原因と歯並びへの影響

お子さまのお口の中を見たときに、「あれ?永久歯が生えてきているのに、乳歯がまだ抜けていない…」と驚いた経験はありませんか。下の前歯の裏側から新しい歯が顔を出していたり、横から永久歯が見えていたりすると、「二重に歯が生えている」「このままで大丈夫なの?」と心配になる保護者の方はとても多くいらっしゃいます。

乳歯から永久歯への生え変わりは、子どもの成長の中でも重要な変化のひとつです。通常であれば、永久歯が生えてくる準備を始めると、乳歯の根が少しずつ吸収されてグラグラし、自然に抜けていきます。しかし実際には、永久歯が先に生えてきたにもかかわらず、乳歯がしっかり残ってしまうケースは珍しくありません。

この状態を見て「少し様子を見てもいいのかな」と考える方もいれば、「すぐ歯医者に行ったほうがいいのかな」と迷う方もいます。結論からお伝えすると、永久歯が生えてきたのに乳歯が抜けない状態は、原因を正しく知り、必要に応じて小児歯科で確認することがとても大切です。なぜなら、乳歯が長く残ることで永久歯の位置がずれたり、歯並びやかみ合わせに影響したりすることがあるためです。

今回は、永久歯が生えてきたのに乳歯が抜けないのはなぜ起こるのか、乳歯が長く残存した場合にどのような影響があるのか、そして保護者の方がどのタイミングで歯科受診を考えるべきかについて、わかりやすく詳しく解説していきます。お子さまの歯の生え変わりで不安を感じている方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

まず知っておきたい正常な乳歯から永久歯への生え変わり

子どもの歯は、一般的に6歳ごろから生え変わりが始まります。最初に下の前歯や6歳臼歯と呼ばれる奥歯が出てくることが多く、その後12歳ごろまで少しずつ乳歯が永久歯へと置き換わっていきます。
このとき、乳歯が自然に抜ける仕組みには「歯根吸収」が関わっています。永久歯は乳歯の下で成長しながら上へ押し上がってきますが、その刺激によって乳歯の根が徐々に溶けて短くなります。根がなくなることで乳歯はグラグラになり、最終的に自然に抜けるという流れです。

つまり、本来であれば永久歯が生えてくる頃には乳歯は十分に動揺し、役目を終えて抜ける準備が整っているのです。しかし、何らかの理由でこの歯根吸収がうまく進まなかったり、永久歯の生える位置にズレが生じたりすると、乳歯が抜けずに残ってしまいます。

永久歯が生えてきたのに乳歯が抜けないのはどうして起こるのか

保護者の方が最も気になるのは、「なぜこんなことが起こるの?」という点だと思います。実はこの現象にはいくつかの理由があります。

最も多いのは、永久歯が本来の位置よりも内側や外側にずれて生えてきているケースです。
本来、永久歯は乳歯の真下から押し上げることで乳歯の根を吸収させます。しかし永久歯の位置が少しずれていると、乳歯の根に十分な刺激が伝わらず、根が溶けにくくなります。その結果、永久歯だけが別の方向から出てきてしまい、乳歯はしっかり残ってしまうのです。
特に多いのが下の前歯です。下の前歯は永久歯がやや舌側、つまり内側から生えてくることが多いため、乳歯の裏から永久歯が見えて「サメの歯みたい」と表現されることがあります。これは小児歯科でも比較的よく見られる生え変わりトラブルです。

 

次に考えられるのが、顎の大きさと永久歯の大きさのアンバランスです。
現代の子どもは食生活の変化により、顎が小さめである一方、永久歯のサイズはしっかりしていることが多く、歯が並ぶスペース不足が起こりやすい傾向があります。スペースが足りないと永久歯は真っすぐ上がってこられず、隙間を探して斜めや内側から生えてきます。すると乳歯の根の吸収が不十分となり、乳歯が残存しやすくなります。

また、乳歯の根がもともと吸収されにくい体質の場合もあります。個人差により歯根吸収のスピードは異なるため、同じ年齢でもスムーズに抜ける子もいれば、なかなか抜けない子もいます。
さらに、永久歯そのものの位置異常や萌出異常が隠れていることもあります。レントゲンで確認すると、永久歯が斜めを向いていたり、深い位置に埋まっていたりして正常なルートで生えてきていないケースもあります。この場合、見えている乳歯だけの問題ではなく、永久歯の誘導が必要になることがあります。

 

乳歯がグラグラしていないのに永久歯が出てきた場合は要注意

保護者の方の中には、「少しグラグラしているからそのうち抜けるかな」と様子を見る方もいらっしゃいます。確かに、乳歯に動揺があり、永久歯が出始めたばかりなら自然に抜けることもあります。
しかし、乳歯がほとんど動かない、しっかり噛めている、押しても痛がらないのに永久歯が明らかに生えてきている場合は、歯科での確認をおすすめします。乳歯の根が十分に残っている可能性があり、このまま待っていても自然脱落しにくいことがあるためです。

特に永久歯が歯の半分以上見えてきているのに乳歯が残っている場合は、抜歯を検討することが少なくありません。小児歯科では、レントゲンで乳歯の根の状態と永久歯の向きを確認し、必要に応じて適切な時期に乳歯を抜く判断を行います。

乳歯が長く残存した場合の影響とは

ここで重要なのが、「乳歯が残っていてもそのうち抜けるでしょ」と軽く考えないことです。乳歯が長く残ることで、見た目以上にさまざまな影響が出る可能性があります。

まず大きな影響は、永久歯の位置異常です。

永久歯は本来生えるべき位置に誘導されながら萌出しますが、乳歯が邪魔をしていると正しい位置に移動しにくくなります。その結果、内側に入ったまま生えたり、外に飛び出したり、斜めに傾いてしまうことがあります。一度ずれた永久歯は自然に完全な正常位置へ戻るとは限らず、歯列不正の原因になることがあります。

 

次に、歯並びの乱れです。

乳歯が残ることで永久歯が並ぶスペースがさらに狭くなり、隣の歯にも圧力がかかります。これにより前歯が重なったり、ガタガタに並んだりする叢生のリスクが高くなります。歯並びが乱れると見た目だけでなく、歯磨きのしにくさにもつながり、将来的な虫歯や歯肉炎のリスクも上がります。
さらに、かみ合わせのバランスが崩れる可能性もあります。

乳歯と永久歯が二重に存在している状態では、噛む位置が不安定になり、食べ物を噛みにくくなることがあります。無意識に片側でばかり噛む癖がつくと、顎の発育や顔貌のバランスに影響することも考えられます。

また、永久歯が内側から生えていると舌に当たりやすく、発音しづらい、違和感が強い、口の中を傷つけるといったトラブルが起こることもあります。

見逃されやすいのが清掃不良です。乳歯と永久歯が重なるように並ぶと歯ブラシが届きにくく、汚れがたまりやすくなります。その結果、生えたばかりでまだ弱い永久歯が虫歯になってしまう危険もあります。永久歯は一生使う大切な歯なので、萌出直後から健康に守ることが重要です。

どのくらい様子を見てよいのか

保護者の方が迷いやすいのが受診のタイミングです。
一般的には、永久歯が少し見え始め、乳歯もグラグラしている場合は1~2週間程度様子を見ることがあります。この間にお子さまが前歯でよく噛むようにしたり、乳歯を指で軽く触れて動揺を確認したりすることで自然に抜ける場合もあります。

ただし、以下のような場合は早めの受診が望ましいです。

永久歯がはっきり見えているのに乳歯が全く動かない
乳歯が痛くて噛めない
永久歯がかなり内側・外側にずれている
歯が二列になっている状態が続いている
お子さまが気にして舌で触っている
歯磨きしにくく汚れがたまりやすい

これらは単なる経過観察ではなく、抜歯や永久歯の位置確認が必要になることがあります。

乳歯を抜くと永久歯はちゃんと並ぶの?

保護者の方が安心したいポイントとして、「乳歯を抜けば永久歯は元の位置に来るの?」という疑問があります。
結論としては、比較的早い段階で乳歯を抜歯できれば、舌や唇の力、周囲の歯からの圧力によって永久歯が徐々に前方へ移動し、ある程度自然に整うケースは多いです。特に下の前歯は改善が見られやすい部位です。
ただし、顎のスペース不足が強い場合や、永久歯の向きが大きくずれている場合は、乳歯を抜いただけでは十分に整わないこともあります。そのため、単に抜くか抜かないかではなく、レントゲンを含めた総合的な判断が必要です。
小児歯科で定期的に経過を見ていれば、必要に応じて矯正相談のタイミングも逃しにくくなります。早期発見は将来の大きな治療負担を減らすことにつながります。

保護者が家庭でできること

永久歯が生えてきたのに乳歯が抜けないと焦ってしまいますが、まずは落ち着いてお口の中を観察しましょう。

乳歯は揺れているか
永久歯はどこから出てきているか
歯磨きはしにくくないか
お子さまが痛がっていないか

この4点を確認しておくと受診時にも状況が伝えやすくなります。
また、前歯でリンゴや食パン、きゅうりなど少し噛み切る練習をすることで乳歯の自然脱落を促せることがあります。ただし無理に引っ張るのは禁物です。根が残っている状態で無理に抜こうとすると痛みや出血、お子さまの歯科恐怖につながる可能性があります。

毎日の歯磨きも丁寧に行いましょう。二重に歯が並んでいる部分は汚れが非常に残りやすいため、保護者の仕上げ磨きが欠かせません。

 

永久歯の生え変わりは成長のサイン、でも気になる変化は見逃さないことが大切

永久歯が生えてきたのに乳歯が抜けない状態は、子どもの生え変わりの中で比較的よく見られるものです。しかし、その背景には永久歯の位置のズレ、顎のスペース不足、乳歯の根の吸収不全などさまざまな理由があり、放置することで歯並びやかみ合わせに影響することがあります。

必ずしもすべてが緊急ではありませんが、「そのうち抜けるだろう」と長期間様子を見るのはおすすめできません。特に乳歯がしっかり残っている場合は、適切な時期に小児歯科で確認することで、永久歯がより良い位置へ並ぶ可能性を高めることができます。

お子さまの歯の生え変わりは、一見小さな変化でも将来のお口の健康に大きく関わります。永久歯が生えてきたのに乳歯が抜けない、歯が二重に見える、歯並びが気になると感じたら、遠慮なく歯科医院へご相談ください。早めのチェックが、お子さまのきれいな歯並びと健康な永久歯を守る第一歩になります。

当院のホームページでは、矯正治療にも治療内容を載せておりますので、あわせてご覧ください

参考文献
日本小児歯科学会 編 小児歯科学 第5版 医歯薬出版
日本歯科保存学会 編 子どもの口腔発育と歯の交換期における対応
American Academy of Pediatric Dentistry. Guideline on Management of the Developing Dentition and Occlusion in Pediatric Dentistry.
Proffit WR, Fields HW, Sarver DM. Contemporary Orthodontics. Elsevier.
厚生労働省 e-ヘルスネット 乳歯と永久歯の生え変わりに関する基礎情報

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