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歯を修復するガム!?リカルデントの驚くべき効果と正しい使い方を徹底解説

日々の生活の中で、私たちの歯は想像以上にダメージを受けています。食事による酸の影響や、間食・飲み物に含まれる糖分によって、歯の表面であるエナメル質が少しずつ溶かされていく「脱灰」は、虫歯の始まりでもあります。ところが、これに対抗する再石灰化という自然のメカニズムが備わっていることをご存知でしょうか。

この再石灰化を助け、歯の健康を守ってくれる画期的な成分が、今注目を集めている「リカルデント(Recaldent)」です。特に、リカルデントガムとして広く市販されているこの製品は、「歯を強くするガム」として高く評価されていますが、その正体や本当の効果について詳しく知っている人は少ないかもしれません。

ここでは、リカルデントの正体と効果、正しい使用方法、日常生活への取り入れ方、市販品の選び方、さらには子どもや高齢者への応用まで、歯科医療の観点からしっかりと解説していきます。

リカルデントとは何か?

リカルデントとは、正式には「CPP-ACP(カゼインホスホペプチド-非結晶リン酸カルシウム)」という成分で、牛乳由来のたんぱく質から作られた天然由来のカルシウム複合体です。オーストラリアのメルボルン大学の研究によって発見されたこの成分は、歯の再石灰化を高める作用があり、初期虫歯の進行を抑える働きがあることが科学的に証明されています。

CPP(カゼインホスホペプチド)は、歯の表面にカルシウムやリン酸を効率よく届ける役割を担い、ACP(非結晶リン酸カルシウム)は再石灰化のためのミネラル源となります。この2つが組み合わさることで、口腔内の酸によって溶かされた歯の表面を修復し、歯の質を高めて虫歯に強い歯を作ることが可能となるのです。

なぜリカルデントが注目されているのか?

従来の虫歯予防は、歯みがきによってプラークを除去したり、フッ素を使用して再石灰化を促進する方法が主流でした。しかし、リカルデントはそのアプローチとは異なり、歯の構造を直接サポートするミネラル補給という点が最大の特徴です。

また、リカルデントは虫歯予防だけでなく、酸蝕症の予防にも効果的であるとされています。酸蝕症とは、炭酸飲料や酸性の食べ物によって歯が溶けてしまう現象で、近年増加傾向にある口腔トラブルの一つです。リカルデントはこうした酸に対する歯の防御力を高める役割も果たすため、食生活の多様化が進む現代において非常に有用です。

科学的根拠に基づいた効果

複数の臨床研究により、CPP-ACP(リカルデント)には以下のような効果が確認されています。

再石灰化の促進
初期虫歯の進行を抑え、溶け出したカルシウムやリン酸を歯に戻す働きがある。

酸からの保護作用
酸性環境下でもエナメル質を安定させ、酸による脱灰を抑制する。

歯の質を強化する
エナメル質と象牙質の耐酸性を向上させることで、虫歯になりにくい歯を作る。

フッ素と併用することで相乗効果
CPP-ACPとフッ素を併用することで、再石灰化効果が高まることも明らかになっています。
特に、「Journal of Dental Research」や「Caries Research」などの国際的な学術誌においても、リカルデントの有効性が繰り返し取り上げられています。

どのように使えば効果的か?

リカルデントは、日常生活の中で無理なく取り入れることができます。以下の方法で活用することで、最大限の効果を得られるでしょう。

食後にリカルデントガムを噛む
ガムを噛むことで唾液分泌が促進され、リカルデント成分が口腔内に広がります。食後の酸性環境から歯を守るために最適なタイミングです。

就寝前にタブレットタイプを使用する
就寝中は唾液の分泌が少なくなるため、虫歯リスクが高まります。寝る前にタブレットを舐めることで、寝ている間も再石灰化をサポートします。

歯科専用製品を使う
市販のガムだけでなく、歯科医院でしか購入できない「MIペースト」など、CPP-ACPが高濃度で配合された製品もあります。これを歯みがき後に塗布することで、より効果的に歯を修復することが可能です。

どんな人におすすめか?

リカルデントは幅広い年代の方におすすめできる成分ですが、特に以下のような方には積極的に取り入れていただきたいです。

初期虫歯がある方
歯科医院で「C0」や「C1」と診断された方は、再石灰化により進行を止める可能性があります。

矯正中の方
矯正器具により歯みがきが不十分になりがちな方には、補助的な再石灰化ケアとして有効です。

ホワイトニング後のケアをしたい方
ホワイトニング後は一時的に歯の表面が脱灰状態になります。リカルデントを取り入れることで、歯の構造回復を助けることができます。

口腔乾燥が気になる方
唾液が少ないと脱灰リスクが高まります。リカルデント入りのガムを噛むことで唾液分泌が促され、口内環境が整います。

リカルデントと他成分との違い

リカルデントと比較される成分に、フッ素やPOS-CAF、キシリトールなどがあります。以下のように、それぞれの特徴があります。

成分 主な働き 特徴
リカルデント   再石灰化の促進、酸からの保護  CPP-ACPにより直接的に歯を修復

フッ素   再石灰化促進、歯質の強化  歯磨き粉やうがい薬に含まれ、安定性高い

POS-CAF   歯にカルシウムを届ける、再石灰化補助  食後のガムで活用、食品由来成分

キシリトール   酸の生成を抑える、唾液促進  虫歯菌を抑える、ガムに多く配合

これらの成分は互いに排他的ではなく、併用することで相乗効果が期待できます。特にリカルデントは、フッ素やキシリトールとの組み合わせにより、再石灰化と虫歯予防の両面をカバーできます。

使用上の注意点

リカルデントには牛乳由来の成分が含まれているため、乳たんぱくアレルギーがある方は使用を避けてください。また、リカルデント入りのガムやタブレットには砂糖が含まれていない無糖タイプが多いですが、製品によっては甘味料や香料が含まれているため、表示をしっかりと確認することが大切です。

市販製品の選び方とおすすめ活用法

リカルデント配合製品は、以下のように選ぶとよいでしょう。

「CPP-ACP配合」と明記されているか
無糖または低糖タイプであるか
甘味料にキシリトールが使用されていると尚良し
医療機関推奨の歯科専用製品(MIペーストなど)を活用するのも有効
また、1日1回ではなく毎日数回に分けて摂取することが効果的です。ガムの場合は10分以上噛むことで、成分がより長く歯に接触し、再石灰化効果が高まります。

まとめ

リカルデント(CPP-ACP)は、現代の予防歯科において非常に有用な成分です。歯の再石灰化を促し、酸によるダメージから歯を守るという働きは、歯磨きやフッ素ケアと並んで取り入れるべき日常のケア習慣です。

ガムやタブレット、歯科専用製品など、さまざまな形で手軽に摂取できるため、自分のライフスタイルに合わせて継続的に使用することが何より重要です。

「歯を削る」から「歯を守る」時代へ。リカルデントを活用したケアは、あなたの歯の未来を確実に変える第一歩になるでしょう。

参考文献

Reynolds EC. “Remineralization of enamel subsurface lesions by casein phosphopeptide-stabilized calcium phosphate solutions.” J Dent Res. 1997.
Cochrane NJ, et al. “Effects of CPP-ACP on enamel remineralization: a systematic review.” Caries Res. 2008.
Zero DT, et al. “The use of topical CPP-ACP in dental caries management: A review of the literature.” J Am Dent Assoc. 2009.
日本小児歯科学会|MIペーストの活用とその安全性に関するガイドライン
厚生労働省:初期う蝕の管理に関するガイドライン(2023年改訂)

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